氏の変更のパターン

結婚前の旧姓に戻るための氏の変更(婚氏続称後)

下の例のように、結婚をして氏(苗字)が配偶者のものに変わった人が、離婚の際、旧姓に戻らずに婚姻時の苗字を続けて名乗ることにした(「婚氏続称」といいます)ものの、生活上の不都合等からやっぱり旧姓(結婚する前の苗字)に戻りたい、という場合です。

山田花子さんが鈴木太郎さんと結婚して、鈴木花子さんとなる

鈴木花子さんと鈴木太郎さんが離婚

花子さんが、離婚から3か月以内に役場へ届け出て、「鈴木」姓を名乗り続けることにする

鈴木花子として生活

鈴木から旧姓である「山田」に変えたい

戸籍法107条1項による氏の変更(家庭裁判所の許可が必要)

このようなケースは、氏の変更申立て(戸籍法107条1項)がされる最も典型的なケースで、結婚時の苗字のまま生活した離婚後の期間等にもよりますが、氏の変更の許可が十分見込まれます。

ただし、このようなケースでも「やむを得ない事由」が不要になるわけではありません。

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養子縁組前の氏に戻るための氏の変更(縁氏続称後)

養子縁組をして氏(苗字)が養親のものに変わった人が、縁組から7年以上経過した後離縁し、このとき縁組前の苗字に戻らずに縁組中の苗字を続けて名乗ることにした(「縁氏続称」といいます)ものの、生活上の不都合等からやっぱり縁組前の苗字に戻りたい、という場合です。上で見た婚氏続称の場合とパターンは同じです。

山田花子さんが鈴木さんと養子縁組して、鈴木花子さんとなる

養子縁組から7年経過

花子さんが、離縁から3か月以内に役場へ届け出て、「鈴木」姓を名乗り続けることにする(縁組から7年が経過していると可能)

鈴木花子として生活

鈴木から旧姓である「山田」に変えたい

戸籍法107条1項による氏の変更(家庭裁判所の許可が必要)

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日本人配偶者との死別による氏の変更

(日本人の)配偶者と死別した人は、役場へ届け出ることによって(復氏届)、(家庭裁判所の許可を得ることなく)婚姻前の氏(苗字)に戻ることができます(民法751条1項、戸籍法95条)。この復氏届には期間制限もありません。

山田花子さんが鈴木太郎さんと結婚して鈴木花子となる

鈴木太郎さん死亡

鈴木花子さんは、役場への届け出(復氏届)のみで、いつでも、「山田(旧姓)」花子に戻れる(家裁の許可不要)

この後再び「鈴木」に戻るには、戸籍法107条1項による氏の変更(家庭裁判所の許可)が必要

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子の氏の変更

関連サイト子の氏の変更手続きをご覧ください。

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外国人との結婚による氏の変更

外国人と結婚した日本人の氏(苗字)は、原則として結婚前のままで、結婚を契機に変わることはありません。

婚姻届出から6か月以内の場合

ただし、婚姻の日から6か月以内に役場へ届け出ることにより、家庭裁判所の許可を得ることなく、氏(苗字)を変更することができます(戸籍法107条2項)。

この方法によって変更して称することのできる氏(苗字)は、あくまでも、日本人配偶者の戸籍の身分事項欄に記載された外国人配偶者の氏と同一のものです。夫婦双方の氏を足し合わせた氏(例:「スミス鈴木」)へ変更するためには、家庭裁判所に氏の変更許可の申し立てをして裁判所の許可(戸籍法107条1項)を得る必要があります。

例 日本人の鈴木さんと外国人のスミスさんが結婚

鈴木⇒「スミス」:婚姻から6か月以内の届出のみで変更可(家裁の許可不要)

鈴木⇒「スミス鈴木」等:戸籍法107条1項による氏の変更(婚姻から6か月以内でも家庭裁判所の許可が必要)

婚姻届出から6か月を経過した場合

婚姻の日から6か月を経過した場合は、役場への届出のみでは外国人配偶者の氏へ変更することはできません。家庭裁判所に氏の変更許可の申し立てをし、裁判所の許可(戸籍法107条1項)を得る必要があります。

鈴木⇒「スミス」:婚姻から6か月経過の場合は戸籍法107条1項による氏の変更(家庭裁判所の許可が必要)

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外国人との離婚等による氏の変更

外国人と結婚した日本人の氏(苗字)は、婚姻を解消しても原則としてそのままで、離婚等を契機に変わることはありません。

婚姻解消から3か月以内の場合

ただし、外国人と結婚後6か月以内に役場へ届け出ることによって(戸籍法107条2項)当該外国人の氏へ変更した日本人は、この外国人との婚姻が解消(離婚、婚姻の取消し、または配偶者の死亡)した日から3か月以内に役場へ届け出ることによって、家庭裁判所の許可を得ないで結婚前の氏(苗字)に戻すことができます(戸籍法107条3項)。

「スミス」⇒鈴木:婚姻解消から3か月以内の届出のみで変更可(家裁の許可不要)

ここで注意しなければならないのは、戸籍法107条3項が使えるのは「戸籍法107条2項によって」外国人配偶者の氏に変更した過去がある場合のみであるということです。したがって、戸籍法107条「1項」の規定によって、外国人との結婚から6か月経過後に氏を変更した場合や、同じ条文の規定により結合氏(「スミス鈴木」など)に氏を変更した場合等において、結婚前の氏に変更するには、婚姻解消から3か月以内であっても、家庭裁判所の許可(戸籍法107条1項の氏の変更許可)が必要になります。

婚姻解消から3か月を経過した場合

外国人との婚姻が解消(離婚、婚姻の取消し、または配偶者の死亡)した日から3か月を経過した場合は、役場への届出のみでは結婚前の氏(苗字)へ変更する(戻す)ことはできません。家庭裁判所に氏の変更許可の申し立てをし、裁判所の許可を得る必要があります(戸籍法107条1項)。

「スミス」⇒「鈴木」:婚姻解消から3か月経過の場合は戸籍法107条1項による氏の変更(家庭裁判所の許可が必要)

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外国人配偶者の通称(日本名)への氏の変更

外国人配偶者が通名として日本名を称している場合に、この通称名に自分の氏(苗字)を変更したいという場合です。このようなケースでは、家庭裁判所に氏の変更申立て(戸籍法107条1項)を行い、裁判所の許可を得れば、氏(苗字)を変更することができます。

山田花子さんが韓国籍の「金」さん(通称名「甲野」さん)と結婚

山田花子から甲野花子に苗字を変更したい

戸籍法107条1項による氏の変更(家庭裁判所の許可が必要)

このケースで氏の変更が認められた場合、その後離婚等により婚姻が解消されても、変更前の氏(例では「山田」)に当然に戻るわけではなく、変更前の氏(苗字)に戻りたいときは、再び家庭裁判所の許可(戸籍法107条1項)を得る必要があります。

なお、このケースは外国人の「通称」に変更する場合ですので、戸籍法107条2項による氏の変更(外国人配偶者との婚姻から6カ月以内に役場に届け出ることにより家庭裁判所の許可を得ることなく外国人配偶者の氏に変更ができる)をすることはできません。

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外国人の父または母の氏への変更

外国人の父又は母を持ち、かつ戸籍の筆頭者でも筆頭者の配偶者でもない人は、家庭裁判所の許可を得て、外国人である父又は母の称している氏に変更することができます(戸籍法107条4項)。裁判所に許可された場合、氏変更の効果は本人だけにしか及ばないため、本人の新戸籍が編製されます(戸籍法20条の2第2項)。

父:「スミス」、母:「山田花子」(=戸籍の筆頭者)を持つ子「山田一郎」の場合

「鈴木一郎」⇒「スミス一郎」:戸籍法107条4項の氏の変更(裁判所の許可が必要)

「スミス一郎」(自分)を筆頭者とする新戸籍が作られる(戸籍法20条の2第2項)。

なお、新戸籍を編製された子(上の例のスミス一郎)は、自分の意思で戸籍の筆頭者となったことから、以後、同籍する旨の入籍届をすることによって日本人父または母の戸籍(上の例の山田花子の戸籍)に入籍することはできないとされておりますので注意が必要です。

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その他の理由による氏の変更

以上氏(苗字)の変更がされる主な例をご説明しましたが、その他にも、氏(苗字)を変更しなければならない「やむを得ない事由」があれば、戸籍法107条1項の氏の変更許可申立て手続きを家庭裁判所においてすることにより、氏(苗字)を変更することが可能です。戸籍上の氏(苗字)の使用が、幼少時に受けた近親者からの性的虐待の記憶を呼び覚まし、強い精神的苦痛が生じている場合などは、その一例として挙げられます。

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